第16湯【バン・ドゥーシュ】千代田区半蔵門
皇居ランナーの聖地! されど非ランナーにとっては…
1周約5km。皇居の周りをランニングする「皇居ラン」が、一大ブームになっていることはご存知だろう。
だが、ランニングは汗をかく。都心で走る以上、帰宅するまでには時間がかかる。シャワーや入浴施設の確保は、初期段階から、皇居ランナーたちにとって大きな課題であった。
そこで彼らは、皇居周辺にある銭湯を有意義に利用し始めた。銭湯でトレーニングウェアに着替える→荷物はロッカーに預ける→店員に声をかけ走りにいく→銭湯に戻る。汗を流して洋服に着替える……という段取りである。
第16湯としてご紹介するバン・ドゥーシュは、まさにそうした皇居ランナーたちのメッカ。皇居ラン関係のHPなどでも、かなりの頻度で取り上げられているはずだ。ちなみに「バン・ドゥーシュ」とは、フランス語で「お湯を浴びる」という意味である。
【住所】東京都千代田区麹町1-5-4
【最寄り駅】半蔵門(徒歩1分)
【電話】03・3263・4944
【営業】15:00~24:00(土曜は13:00~23:00/日曜、祝日休)
【浴槽】1槽
【その他】ボディシャンプー&リンスインシャンプーあり。フェイスタオル+200円。
実は今回、恥ずかしながら、バン・ドゥーシュが皇居ランナー御用達の銭湯だとは知らずに入った。
国会図書館で資料集めをしていて、ついでに銭湯でも寄るかと、お得意のぷらっと銭湯検索で調べたのである。永田町とか、国会議事堂前とか、あのへんの超都心って本当に呆れるくらい銭湯がない。
皇居外周から、TOKYO FMのところを半蔵門駅方面に進む。見えてくるのは、レンガ造りのマンションの半地下にバン・ドゥーシュの看板。入口では、ランナーたちがたむろしている。
入浴料にプラス200円でフェイスタオルを購入。リンスインシャンプーとボディソープは常備されているという。サービスで日本茶の250mlパックをもらった。
脱衣場に移動。あまりの狭さに圧倒される。その狭いスペースで、ランナーたちはトレパンに着替えたり、身体を拭いてスーツ姿に戻ったりしている。
みんな、すごく手際がいい。銭湯でダラダラするっていうより、ランニングの前後に必要最低限の作業を済ませるっていう感じだ。工場の更衣室とかも、たぶん似たような雰囲気なんじゃないだろうか。そんな経験ないけど……。
浴室へ。これまた、ものすごく狭い。浴槽は1つ。家庭サイズに毛が生えた程度の大きさ。5人も入れば、いっぱいになってしまうはず。湯温は42度くらいだろう。
銭湯自体は皇居ランナーたちのおかげで繁盛しているため、人が入れ替わり立ち代りで入ってくる。ただやはり、滞在時間が異常に短いようだ。せわしなく身体を洗っており、シャワーだけで済ませる人も多数。ゆとりなどまったくない非リラックス空間。まるで刑務所の風呂場みたいではないか!
その慌ただしい雰囲気に呑まれて、普段は優に1時間くらい銭湯を楽しむ俺まで15分ほどで出る始末。そのまま急かされるようにして着替えて銭湯を後にした。はっきり言って、居心地はものすごく悪かった!
……と、ここまではダラダラお湯に浸かっているのが好きな銭湯マニアの視線でクソミソ書かせてもらったけど、皇居ランナーにしてみたら非常にありがたい銭湯だとは思う。
まぁ「半蔵門だったらTOKYO FMのところにジョグリスがあるじゃん(ビジターは700円)」とか「大手町の稲荷湯とか、ちょっと離れるけど神保町の梅の湯じゃダメなの?」とか、他にも言いたいことはあるけど……。
皇居ランってスタート地点とゴール地点がある程度、限定されるのだ。やっぱり会社の位置とか、使用する駅とかがあるから。そのへんは、俺も一時期皇居ランしていたからわかる。
老夫婦によって経営されているこのバン・ドゥーシュは、それこそ潰れる直前だったらしい。それが突然の皇居ランのブームによって、奇跡のV字回復を果たしたのだという。
そういう話を聞くと、銭湯文化の縮小に胸を痛める俺としては、俄然、応援したくもなってくる。ただ、銭湯ソムリエの自分が再び訪れることはまずないだろう。無責任な話だが、皇居ランナーのみなさんは今後も変わらずにバン・ドゥーシュを愛してあげてほしいなと思う。
【湯加減】☆☆
【居心地】☆
【バラエティ】☆☆
(おまけ)国会図書館食堂のあいかけカレー。カレー+牛丼のコラボ。オススメ!
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